呼びかけ文西村仁美案

 西村仁美さんから呼びかけ文の案が届きましたので、掲載します。

出版フリーランス・デモ
雑誌よ、甦れ! 燃えよ、フリーランス!!
 おもしろい雑誌をつくらせて! フリーランスに当たり前の取材経費保証を!


 「本がつまんな〜い」「雑誌、ぜんぜんおもしろくない」
 そんな声をちまたで時どき耳にする。
 「売れない本は資源ゴミ」なんて言葉、聞いたこともある。
 ガァ〜ン!!(涙)ちょ〜っと待ったあ。
 本はもちろんのこと、雑誌ってね、
出版社→編集プロダクション→フリーランス
出版社→フリーランス
 って形で出版社がね、仕事を編集プロダクションやフリーランスに外注するのがほとんどなの。
 つまりわたしたちフリーランスが、出版業界を支えているっていっても過言じゃないわけ。
だから「つまんない」「おもしろくない」ものをつくっている責任は、わたしたちにもある。
 実はね、「2兆円産業」といわれるこの出版業界で、去年(2009年)の本や雑誌の売り上げの合計が、21年ぶりに2兆円を割り込んだんだって。
 その主な原因が、雑誌離れ!!(涙)
 12年連続で前の年の売り上げを下回るとか。さらに追い討ちをかけているのが、この不況による広告費減。そのため、ここ数年、雑誌の休刊や廃刊があとをたたない。
 『月刊現代』(講談社)『ロードショー』(集英社)『諸君!』(文芸春秋)『マリ・クレール』(アシェット婦人画報社)『DOLL』(ドール)『小学五年生』『小学六年生』(共に小学館)……。
 大変なのは、出版社の社員も一緒。ある編集者がね、給料の遅配や切り下げが敢行されているところもあるっていっていた。
 書店から出版社への本の返本率は2年連続、4割を超えているとか。全国で2万ぐらいと言われていた書店が、今では1万6千ほどって聞いたよ。
 そんな状況で、わたしたちフリーランスはどうか、っていえばね−−
 「持ち込み企画は経費を出せないよ」
 「食費は出せない」
 「遠方の経費は出せない。心意気でやって」etc.

 こういうこと、仕事の取引先の編集者からいわれることもある。でも、心意気だけじゃ、もう食えないんだ。
 もちろん心ある編集者もいる。
 経費の件で上司にかけあってくれることもある。取材経費を先払いしてくれるところもある。でも、それは個々の関係性や交渉によるところも
大きくて、当たり前に支払われるべき経費が支払われないほうが一般的だと思う。
 フリーランスの仕事って、取材や執筆にかかった時間を原稿料で割って時給になおせば、出版の最低賃金といわれる819円より低いってことも珍しくない。
 おもしろい記事、読み応えのある本を書きたくってもね、フリーランスの自助努力にも限界があるんだ。 
 だからわたしたちは、読者への責任と、自らの権利を守るために立ち上がるんだ。こうした現状をみんなに知ってもらいたくって、立ち上がるんだ。
 わたしたちは、同業者のフリーランス編集者、カメラマン、デザイナー、校正、校閲記者などはもちろんのこと、経営縮小などでリストラされそうな出版社の社員や契約社員派遣社員、アルバイトやパートで働く人たちのためにも立ち上がるよ。書店の経営者やそこで働く人たち、出版社から書店に運ぶ取次ぎの人たち、キオスクに新聞や雑誌を届ける人たち、出版社の倉庫で本の仕分けをする人たちのためにも。
 本や雑誌が売れなきゃ、みんなが困るんだからさ。
 この現状を本や雑誌の読者のみんなに、まずは知ってもらいたい。そして出版社のみなさんも苦しいかもしれないけれど、最低限の取材経費と原稿料は保証してもらいたい。出版の最低賃金は守ってもらいたい。それがお互いに生き残るためにも必要なことだと思うから。
 さあ、みんなで立ち上がろう!

(スローガンは苦手なので、みなさんにお任せします)